ショコラさんは、幼少の頃からモデルとして、高校卒業後の90年代後半からはミュージシャンとしても活動されてきました。そして2003年頃から“CORCHEA(コルチェア)”というハンドメイドのアクセサリーブランドを始め、ご自身の手でものづくりをされているアーティストでもあります。1点1点、手仕事でつくられるアクセサリーは、オンラインショップにアップするとすぐに売り切れることも。ムーンスターとの出会いは、約8年前の九州。以来、ずっと履いてくださっているとのこと。様々な表現活動をされながら、母として息子さんとの暮らしを楽しまれているショコラさん。ものづくりのことを中心に、いろいろなお話を伺いました。
「4歳の頃に、日比谷公園でスカウトされたと母から聞きました」
母と、双子の妹heaco(ヒーコ)と一緒に歩いていたらスカウトされて、自分では覚えてないんですけど「やりたい」と言ったらしいです。たぶん、双子だったのが目を引いたんだと思います。それで当時の事務所に所属したのがきっかけでモデルの仕事を始めました。
「ビートルズが大好きでした。あと、アシッドジャズも好きでした」
高校を卒業して、モデルを続けながらフラフラしていたときに、当時のレコード会社のディレクターの方に「歌をやってみない?」と言っていただいて、音楽を始めました。プライベートで音楽活動はやっていなかったんですが、歌うのは好きだったし、ピアノも少しだけど子どもの頃にやっていたりとか、吹奏楽部に入っていたり、ずっと音楽は好きでした。妹とビートルズのCDを集めたり、高校生の頃ちょうど流行っていたので、アシッドジャズなんかも好きでよく聴いていました。
「ものづくりに関しては、大人になってからムクムクと創作意欲が湧いてきたみたいな感じですね(笑)」
子どもの頃から絵を描くのは好きだったんですが、そこまで意欲はなかったんです。でも自分のツアーのグッズで何かつくろうということで、定番のTシャツ以外に、自分でデザインできるものはないかなと思って、アクセサリーのブランドをやっている友だちに相談して一緒に手伝ってもらって始めたのが“CORCHEA(コルチェア)”です。自分もアクセサリーを着けるのが好きなので、自分が欲しいものをつくってみようという発想でした。夫(シンガーソングライター・音楽プロデューサーの片寄明人さん)と出会って、彼の実家が画廊だったこともあって、よく一緒に美術館にも行くようになったんです。それでアートからたくさん刺激を受けたり。「ものをつくりたい」と思うようになったのは、そんな環境も影響したのかなと思います。
「いつも色を探しています」
日頃からインスタグラムやピンタレストを眺めるのが好きで、お部屋のインテリアとか、ドアと壁のコンビネーションの色合いとか、好きな色の組み合わせを見つけては、その画像を保存しているんです。息子に着せている洋服の色合わせもかわいいなと思ったら写真を撮っておいて後で見て思い出したりとか、散歩していても、この壁とこの柵の色がいいなと撮っておいたりとか、もう日常的に色のことばかり考えています(笑)。
「自分で色をつくって塗ったら、楽しいだろうなと思って」
色のマッチングにとにかく興味があって、色彩が豊富なヴィンテージボタンを集めては組み合わせて、イヤリングとかブレスレットやネックレス、ブローチをつくっていた時期もありました。特にベークライトという1930年代頃に人気だった材質で造られたボタンが好きで。雰囲気や質感や色の感じに今のボタンでは絶対に出せない何かがあって、それにすごく固執して収集していました。ベークライトはeBayで落札していたんですけど、そもそもが希少なので高価なんですよね。あと、届いてみたら後ろが平らじゃなくて金具が付けられないとか、ドリルで穴を開けてみたら割れちゃうとか、劣化してるとか、たくさん集めても使えるものが少なかったり。あと、持ってみると重たいものもけっこうあって、イヤリングにすると実用的じゃなかったり。それで、木がいいなと思って、装着感を感じない軽い素材を探したんです。それに木だと自分で色をつくって塗れるから、もっと楽しいだろうなとも思ったんです。一から絵の具の色を混ぜて、一個一個塗っては、左右のイヤリングとして色を組み合わせたり、その作業がとにかく楽しく幸せで、ついに理想に行き着いたという感じです。
「今は、オリジナルの木のパーツでつくっています」
アクセサリーをつくるようになってから、各地でCORCHEA展とライブを組み合わせたツアーもするようになったんです。それで札幌に行ったときにステージの飾り付けをやってくださった地元の方が木工家具の職人さんで、「アクセサリーのパーツとかもつくれますよ」って言ってくださって。その頃はEstyっていうサイトで三角形とか五角形とかの木のパーツを外国人の方から買っていたんですが、色だけじゃなくてパーツもオリジナルでつくるのがずっと夢だったので、「ぜひよろしくお願いします!」と頼んだんです。それがもう5年前くらいですかね。その職人さんに、たとえば五角形で立体になっているものをつくって欲しいとお願いすると、試行錯誤しながら、とてもていねいにつくってくれるんです。そこに絵の具を混ぜて、その場限りで二度と再現できない色をつくり、組み合わせを考えては塗っていくという感じです。模様のパターンも、機械的ではない手書きのスタイルにこだわって、ひとつひとつ描いています。
「人がつくったんだっていうところが感じられる、見るからに分かるっていうものが好きなんです」
ハンドメイドとか手仕事が大好きで、私の好きな言葉は“和モダン”“古民家を改装した”“手仕事”“ていねいな暮らし”みたいな感じなんです(笑)。それを夫とのデュオChocolat&AkitoのライブのMCで話して、夫がバカにするっていうネタがあったんですけど(笑)。大人になってからですね、そういうものを見て知ってハマっていったというか。だからツアー先では手仕事もののセレクトショップに行ったり、窯元に行って器を買ったりとか。ツアーと一緒に手仕事を回るツアーみたいな(笑)。家具も、自宅のリビングに置いているテーブルは夫のおばあちゃんが使っていたものなんです。このテーブルでよく聖書を読んでいたそうで、手仕事とは違うけど、誰かに使われていたことを想像して譲り受けたものを使うのも好きです。今は息子が愛用してくれているのも、なんだか嬉しいです。
「SHOES LIKE POTTERYは、夫が5〜6足目、私は3〜4足目だと思います」
息子が生まれる前は、Chocolat&Akitoで毎年弾き語りツアーをしていました。九州でもよくライブをやらせてもらっていたんですが、私たちのライブ会場はレトロな映画館だったり、カフェやレストランが多かったんです。ツアーをサポートしてくれる人たちに連れて行ってもらう素敵なカフェやショップには必ずSHOES LIKE POTTERYがありました。それでとても気になって、まずは旦那さんが履き始めたんです。その後、私も履き始めたのが7年前。それからはボロボロになるまで履いて、また新調して、を何度も繰り返しています。シンプルでどんなスタイルにも合うデザインがお気に入りで、ハイカットとローカットどちらも好きです。ちょっとボコボコしていたりとか継ぎ目が見えていたりするところも、気になる方は気になると思うんですけど私はむしろ大好き。人の手でつくられた、それでしか生まれないような揺らぎみたいなのが好きなんですよね。
「アメリカ人の親友にも自慢しました(笑)」
カリフォルニアでレコーディングしたときもSHOES LIKE POTTERYを履いて行ったのですが、ミュージシャンでフォトグラファーの親友が私の靴にすごく食い付いてきて(笑)。絶対好きだろうなとは思ってたんですけど、案の定「それいいね!」となって、まるで私がつくったかのように自慢げに説明をしました(笑)。そのとき、その場でネットを検索していたら、イギリス人モデルのアレクサ・チャンも愛用している写真を見つけて、外国でも売られているんだとそのとき初めて知りました。帰国してからお世話になったお礼にSHOES LIKE POTTERYを注文して送ったんですが、その後、彼女が日本に来たときに履いてきてくれて嬉しかったです。かなり履き込んだ様子で汚れが目立つようになっていて、私のSHOES LIKE POTTERYを見て「どうしてあなたのはキレイなの?」って聞かれたので、「旦那さんが洗ってくれてるからだよ」って言ったんです(笑)。ちょっと経ってから彼女のInstagramでキレイなSHOES LIKE POTTERYを履いてるのを見かけて、あ、洗ったんだなと(笑)。大事に愛用してくれてるんだと、さらに嬉しかったです。
「しっくりくるバランス」
SHOES LIKE POTTERYって、スニーカーなのにシュッとしているじゃないですか。ボテッとしたスニーカーは自分の選ぶ服に合わなくて。カジュアルなんだけど少しフォーマルっぽさもあるというか。洋服も靴もカジュアルに傾いちゃうのが嫌なので、今日もデニムの上下なんですけどジャケットに合わせたりとか、そういうスタイルが好きですね。SHOES LIKE POTTERYに合わせるのに良いと思うのは、やっぱりパンツスタイルじゃないかな。パンツの形はテーパードがかわいいと思います。スカートだったらデニムのロングスカートとかにも合わせています。
「息子が履いているムーンスターも、サイズアウトするたびに同じものを新調しています」
息子が2歳の頃に、雑誌のイベントでムーンスターの方から子ども靴の選び方を教えていただく機会に恵まれました。そのときのお話は、今も息子の靴選びの指針になっていて、足や身体の成長を妨げることは絶対にしないように気を付けています。靴の選び方ひとつで、中学生になるまでの成長に影響が生じるというのを知ってびっくりだったんです。靴選びって、そんなに大きくなるまで大事なんだと。靴は多少大きくても良いけれど、足がしっかりとホールドされていないとダメっていうお話は本当に忘れられなくて、ちょっと足の指の先が空いていても、甲の上で全体がしっかりホールドされていれば大丈夫なんだって安心できたりします。息子自身も、他の靴を履いているときは甲のところが当たって痛いとたまに言ったりしますが、ムーンスターではそれがないんです。いつも履かせているCARROTのCR C2107はどんな服にも合わせやすいし、形もかわいいのでお気に入りです。
「息子の脚は“ロックスターの脚”なんです(笑)」
息子に着せるものは、もこもこ、ゆるシルエットが好きです。パンツもスキニーシルエットよりもワイドシルエットが好き。スリムボーイだから、ピタッとしたパンツを履かせると“ロックスターの脚”になっちゃうんですよ(笑)。ムーンスターの靴だと、CARROTの“サンボン”も履かせていたこともあるんですけど、ちょっとボテッとしているので、“ロックスターの脚”には“サンボン”よりもCR C2107のほうがバランスが良いと思っています。ちなみに“ロックスターの脚”は、子ども同士も仲良くさせてもらっている相対性理論のギタリスト、永井聖一くんに、プールで遊んでいた息子が「きみはロックスターの脚だな」って言われていたのが面白くて定着しました(笑)。
「誰かの心を彩れたら」
制作にすごく長い時間がかかってしまうんですが、アクセサリーづくりの延長で、壁に掛けられるウォールデコをついに完成させたんです!おうちで過ごす時間も増えてきたので、アクセサリーだけじゃなく、色で誰かの心を彩れたら素敵だなと思って挑戦しました。ついに完成したので、これからはこういった作品もつくり続けられたらいいなと思っています。音楽は、歌うのはすごく好きなんですが、息子との時間を大切にしたいというのもあって、本格的な活動はまだできないかもしれません。ただ、いつか旦那さんと息子と3人で曲をつくってみたいなぁという夢はあります。
ショコラさんの印象を聞かれたとしたら、こう答える人が多いのではないかと思います。“自分の心に正直な人”。モデルや音楽の業界はとても華やかで特別な世界に見えます。けれどショコラさんに、人を寄せ付けない雰囲気を感じることはまったくありませんでした。それは、ショコラさんが、自分が素直に楽しいと思うことを、1日1日丁寧にやってきた過程の中に、たまたまお仕事があっただけだったからなのかもしれません。そして、そんな自然体の延長線上に、CORCHEAというものづくりがありました。売れることが目的なのではなく、日常の中でついつい自分の目や心が奪われてしまう“色”や“色の組み合わせ”や“質感”に対する気持ちに正直にものをつくる。一人の人として、母として、息子さんやご家族との暮らしを大切にしながらものをつくる。短い取材時間の中でしたが、そんな姿が見えてきました。ムーンスターをご購入していただいたり、ご愛用していただいたりする理由は人それぞれです。私たちが理由を押し付けることではありません。けれど、ムーンスターが大切にしていることのひとつは“暮らしに馴染むこと”であるのは間違いありません。だから、日々の暮らしを大切にされているショコラさんにムーンスターが選ばれていることを、とても嬉しく思いました。