つながる
私とムーンスター

「『絶対的な価値はない』という感覚を楽しみ、ものの見方を変えることで、自分たちなりの価値を見出すこと」を活動の中心に置くお店、niente。ものの価値とは何なのか?面白いことってどういうこと?を問いつづける見城さんとムーンスターの間にはどんなつながりがあるのか。人を包み込むような人柄に誘われ、ついついムーンスター以外のこともいろいろとお聞きしてしまいました。

「自分がどれくらい好きか」

ものの価値には相対的な価値と主観的な価値とがあると思うんです。世の中で流行っていると価値が上がるというものもあるけど、誰かが捨てるような、何の役に立つのか分からないけど、愛着を感じて、この佇まいがたまんないんだよっていうものって、個人にとってはすごく価値がある。nienteとつなげて考えると、世の中的には必ずしも価値があるわけではないのに、個人にとっては「いいじゃん」と思えるものが面白いと思っています。言い方を変えると、いろんな人の視点に立つことで、ものの価値が変わって見えてくるのが面白いということかもしれません。ぼく個人でいうと、ニュートラルなものとか、「なんかっぽくない」ものが好きなので、そんなところがお店に置くもののセレクトには出ていると思います。

「ストレスが少ないもの」

自分が使うものを選ぶときは、ストレスがないことを意識します。逆に言うと、使っていてストレスがあるものは使わなくなってしまうから。身に着けるものだったら、シルエットだったり格好の良さ、佇まいがいいもの。見た目からもストレスを感じないものを選びます。そういうものって、往々にして作り手のプライドが入っているものが多いんだと思います。

「見開き1ページに収まるメニュー」

通っている焼き鳥屋があるんですが、そこのメニューは飲みものも含めて見開き1ページしかないんです。オヤジがこだわって、これとこれとこれを最高の状態に焼きますっていう。こっちは瓶ビールを頼んで、だいたい同じ順番で注文していくみたいな。そういう変わらないものが好きです。ムーンスターにも共通するんですが、コロコロ変わるのではなく、ずっとつくりつづけられている定番が好きなのかもしれません。ぼくの向上心がないだけなのかもしれないですが(笑)。

「ずっと探していた雨の日に履く長靴(のようなもの)」

長年、個人的にもお店で販売するプロダクトとしても、雨靴を探していたとき、はっきりとは覚えていませんが偶然ALWEATHERを知って、ほしかったのはこれだぁ〜と衝撃を受けました。その後、鎌倉にある取扱店で試し履きをしたりして、後日連絡させていただきました。雨用の靴としては、長靴ORスニーカーという概念しかなかったのですが、両方いいとこ取りしているのがALWEATHERだと思います。見た目の頑丈さから、もっと疲れるのかなと思ったんですが、1日履いても疲れないのもいいですね。

「デッキシューズもムーンスターに乗り換えました」

ALWEATHERを知ってから、ネットで調べていたらムーンスターにデッキシューズがあることを知りました。実はそれまで、ある海外ブランドのものを4〜5年履いてたんですが、あるときから質感が変わったり、箱のデザインが変わってきたりして、違和感を感じていたんです。ちょっと調べてみたら、資本が変わったということも分かって、だから質が悪くなったのかと…。今日も履いてるムーンスターのDECK SPORT Vはシルエットや縫製がとてもきれいで、ラバーもしなやかなので、履き心地が抜群に良くて、何足もリピートしています。

「『あぁ、犬のウンコを踏んだんだな』が面白がれる日常」

日常って変わらないけど、それを面白がれるのが豊かな暮らしじゃないかなと思います。たとえば通勤の道でポンっと花が咲いてたりとか、変わったおじさんが歩いていたりとか、夏の匂いがしてきたりとか、犬のウンコを踏んだ跡があって気の毒だなぁと思ったりとか(笑)。小さなところに目を向けたり、面白がったりしながら新しいことを知ると、今まで見ていたものがちょっと違って見えてくるし、そこからまたいろんなことを知ることにもつながってくると思うんです。そういえば今、「もののけ姫」をめちゃくちゃ観に行きたいんです。実は主人公はもののけ姫じゃなかったんだっていう視点で観ると、また違う見方ができると思って。

自分はどうしてそれが好きなんだろう?を、いつも考えている見城さん。特別なことや、世の中が決めた価値ではなくて、自分の目の前にある日常を面白がることで新しい価値に気付き、その気付きをお店で提案していく。日常という変わらないものを大切にする過程でムーンスターに出会ったことは、必然だったのかもしれません。