日々のこと
TSUKIBOSHI INTERVIEW
MOONSTARの新たな一面を映し出す、「TSUKIBOSHI」
長い歴史の中で培ってきた技術やものづくりを、これまでとは少し違う角度から見つめ直す。そこから生まれるのは、これまでのMOONSTARとは少し違う、新しい価値。「TSUKIBOSHI」は、そんな挑戦から生まれた新プロダクトレーベルです。
ファーストシーズンに登場するのは、日常に寄り添うランニングシューズ「RESIS」と、防水性と着脱性を備えたジッパータイプの「ALTE」。一見すると異なる二つのシューズですが、その根底には、MOONSTARがこれまで積み重ねてきたものを別の視点から捉え直し、「今」の暮らしに馴染むものへと変えていくという共通した哲学があります。TSUKIBOSHIとは何なのか。そして、その最初の二足にはどんな考えが込められているのか。企画、デザイン、販売、作家、それぞれの立場からTSUKIBOSHIに携わる6人に話を聞きました。
MOONSTARのB面から、新しい日常へ。
◼︎TSUKIBOSHIとは、どんなブランドなのでしょうか?
DIRECTOR S:
「使われて、はじめて意味を持つ。」
TSUKIBOSHIは、MOONSTARが長年培ってきた技術やものづくりを、少し違う角度から捉え直し、これまでとは違う価値をつくるプロダクトレーベルです。一つのブランドとして形を固定するというより、プロジェクトとして、その時々で対象や表現も変わっていきます。TSUKIBOSHIを一言で表すなら「MOONSTARのB面」。表があれば、裏もある。知っているようで、まだ知らないMOONSTARのものづくりを、別の視点から楽しむための場所です。
日常の延長線上にある、一足。
◾︎ ファーストシーズンのプロダクトは、どのように生まれたのでしょうか?
DESIGNER D:
展開ブランドの販売動向を見ていく中で、自社のメインストリームになるような商品の開発や注力が不足しているのではないか、という課題がありました。今年に入りPLATO MOONSTARもオープンし、直営店からお客様の声をより身近に聞けるようになったことで、どんな商材が求められているのかを改めて考えるようになりました。その中で生まれたのが、「日常使いするようなランニングシューズを、MOONSTARがつくったら?」というアイデアでした。MOONSTARの運動靴というと、学校履きや子供靴のSUPERSTARを思い浮かべる人も多いと思います。自分自身、子どもの頃に履いていた運動靴を振り返ると、何をするにも常に履いていた印象があります。改めて考えてみると、運動靴に備わっているスペックは、日常の大抵のことに対して十分対応できるものなんだと思いました。当時は特に意識せず履き潰していましたが、それだけ自然に日常に馴染んでいた。そんな存在だったことが、今回の企画を考える上で一つのヒントになりました。TSUKIBOSHIとして、日常の延長線上にあるニュートラルな一足になればいい。どんな人が使い、どんなふうに履かれるのか。そんなことを想像しながら、デザインしていきました。
RESIS —— 異なる質感が織りなす、静かな存在感。
◾︎ RESISについて教えてください。
DESIGNER D:
RESISには、二種類の大ぶりなメッシュを採用しています。通気性や清潔性、軽量性、屈曲性を高めながら、1トーンのカラー配色でも素材のテクスチャーによって陰影が生まれ、立体感が出るようにしています。のっぺりとした印象を抑えながら、デザインにリズムをつくることを意識しました。センターラインとサイドパネルでは素材を切り替えていますが、その組み合わせについてもさまざまなパターンを検討しました。平面的なメッシュと立体的なメッシュ。織りの意匠や形状、サイズの違い。少しの違いでも、全く違う雰囲気になるんです。また、消耗しやすい箇所はシームレス部品や補強パーツで保護しながら、単調な印象にならないようレイヤーの組み合わせを試行錯誤しました。取ってつけたような部品に見えないことが前提です。それぞれの部品を一つのまとまりや流れとして機能的に見せていく。複数の部品で構成しながら、そのバランスを整えていく作業には特に時間をかけました。爪先や踵の反射材、踵のグラつきを抑えるカウンターパーツ、歩行時の横ブレをサポートするサドルなど、さまざまな機能を靴全体の流れに馴染ませています。カラーは、完全な1トーンのブラック、濃淡でまとめたグレー、そして90年代のテクニカルな雰囲気を表現したシルバーの3色です。使う人がいるだけ、それぞれの日常や生活があります。そんな多岐にわたる日々の中に、自然に溶け込める一足を目指しました。
ALTE —— 「ちょっとした面倒」を取り除く、機能とデザイン。
◾︎ ALTEについて教えてください。
DESIGNER W:
一言でいうと、着脱のしやすいジッパータイプの防水ランニングシューズです。着脱のしやすさは、毎日の「ちょっとした面倒」を取り除くための、地味だけれど大切なディテールだと思っています。そのため今回は、ジッパー仕様の構造を採用しました。防水仕様に必要な機能を備えながらも、それらが全体のトーンに違和感なく馴染むよう作り込んでいます。前後に配したリフレクターは、日中はさりげないアクセントとして、夜には安全な視認性を確保する役割へと変わります。ソールには、耐摩耗性と防滑性を兼ね備えたマーブル柄のハイブリッドラバーを採用しました。機能面だけでなく、足元のさりげない個性としても効いています。また、踵にはグラつきを抑えるパーツを内蔵しています。横ブレを軽減することで、長時間歩いても疲れにくい仕様に仕上げました。全体としてはカラートーンを統一しながら、機能に合わせて素材を使い分けています。メインにはスウェード調の素材。ジッパー周りには屈曲を妨げないメッシュ。踵にはホールド性と強度を保つスムースの合皮。腰部分のメッシュには、強度としなやかさを両立する樹脂パーツの圧着を採用しています。色だけでは単調になりがちな印象を、異素材のレイヤリングによって表情豊かに仕上げました。
「防水だから」ではなく、「この靴が欲しい」から。
◾︎TSUKIBOSHI第一弾として、意識したことは?
DESIGNER W:
ファーストシーズンのモデルになるので、良くも悪くもTSUKIBOSHIのイメージを左右することになる。そんなプレッシャーとワクワクがありました。ALTEは形式上、防水シューズとして説明できます。ただ、「防水シューズ」というフィルターを通さなくても選んでもらえることを意識して開発しました。「防水靴ならこれがいいよね」「雨の日はこれを履きたいよね」そんなふうに、“雨の日”という条件があって初めて選ばれる靴にはしたくなかったんです。もちろん、雨の日に選ばれることは嬉しい。でもそれ以上に、初めて見たときに、「靴として欲しい」「スタイルとして履きたい」という感情から手に取ってもらいたい。そんな思いで作り込んできました。ただ、それによって機能がおろそかになってしまっては本末転倒です。デザインと機能のバランスは、試作を重ねながら最後まで悩み抜いた部分でもあります。
異なる視点から見る、TSUKIBOSHI。
◾︎イベントではRESISへのペイントを担当されました。実際に描いてみて、いかがでしたか?
PAINTER H:
「RESIS」を描きました。ガラスの表裏から線を重ねて、わずかな奥行感をつくっています。
細部も観察しながら描いたのですが、デザイナーのこだわりが感じられて、楽しかったです。
◾︎実際に販売する立場から見た、2つのモデルの印象は?
SALESMAN T:
RESISは、昔あったような、それでいて現代の雰囲気も感じるTSUKIBOSHIらしい一足だと思います。ALTEは、やっぱりセンタージップと防水が魅力ですね。PLATOでは、発売からすでに人気です。
◾︎ TSUKIBOSHIに期待することは?
SALESMAN T:
これまで培ってきたものを大切にしながら、新しいことにも挑戦していく。TSUKIBOSHIを通して、いろいろなチャレンジをしてほしいです。そして、それらを経てMOONSTARの「今」の雰囲気を伝えていけたらと思います。
それぞれが考える、TSUKIBOSHI。
◾︎TSUKIBOSHIを一言で表す言葉を、それぞれに聞いてみました。
DIRECTOR S:「MOONSTARのB面」
DESIGNER D:「開墾者」
DESIGNER W:「NEW STANDARD」
SALESMAN T:「温故知新」
PAINTER H:「日々に調和する靴」
MARKETER G:「月の裏っ側」
異なる立場から生まれた、6つの言葉。
表現はそれぞれ違います。けれど、その言葉の奥には共通するものがあります。MOONSTARがこれまで積み重ねてきたものを受け継ぎながら、まだ見たことのない価値をつくっていくこと。過去をそのまま繰り返すのではなく、これまで培ってきた技術や考え方を別の角度から見つめ直し、「今」の暮らしに合わせて更新していくこと。そして、プロダクトはつくられた時点で完成するのではなく、誰かの日常で使われることで、その人にとっての意味や価値を持ちはじめること。それこそが、TSUKIBOSHIが目指すものづくりの姿勢なのかもしれません。
使われることで、その人にとっての意味が生まれていく。
◾︎最後に、消費者の皆さんへメッセージをお願いします。
DIRECTOR S:
使ってみてください。意味は、そのあとで。つくられた時点で完成するのではなく、使われることで、その人にとっての意味が生まれていく。そんなプロダクトをお届けします。そして、もしご近所に「月星シューズ」の看板や装飾を見つけたら、Instagramでメンションしてください。
DESIGNER D:
ランニングシューズをMOONSTARのフィルターに通して生まれた、このシューズならではのムードを、ぜひプロダクトを通して感じてほしいと思っています。そして、使っていく日々の中で、ふと気分が上がるような瞬間があれば。そんな瞬間の積み重ねが、使われてこその価値になっていけばと思っています。
DESIGNER W:
どれだけ理想を詰め込んでも、実際に履かれて、日常の中で使われてはじめて、その価値が形になると考えています。ジャンルや用途で括られる靴ではなく、まず「これが欲しい」「これを履きたい」と感じてもらうこと。そして実際に足を通してもらい、使うたびにその心地よさを実感してもらえること。そんな順番で開発してきました。あとは、実際に履いて確かめてもらえたら嬉しいです。
SALESMAN T:
皆様に使っていただいて、出来上がっていくブランドだと思います。まずはぜひ、お試しください。
⸻
使われて、はじめて意味を持つ。
MOONSTARのB面から生まれた、TSUKIBOSHI。過去に培われたものを手がかりに、まだ見えていないものを探す。そして、新しく生まれたプロダクトが誰かの日常に入り、その人だけの意味を持っていく。
TSUKIBOSHIは、これからもMOONSTARの新しい一面を探し続けます。