日々のこと
SHOES LIKE POTTERY展
5月14日から28日まで、ALSO MOONSTARにて「SHOES LIKE POTTERY展」を開催しました。このイベントでは、写真家の菅原一剛さんにSHOES LIKE POTTERYが生産されている様子を写真にしてもらい、展示しました。また、ムーンスターに余っている生地をWatanabe'sの渡邊さんに藍染してもらい、その生地で生産したSHOES LIKE POTTERYをALSO限定カラーとして販売しました。
SHOES LIKE POTTERYは12年前、久留米のヴァルカナイズ製法を知ってもらおうと、社内で企画した「焼き物みたいな靴展」にはじまります。その時に展示品としてできた靴がSHOES LIKE POTTERYの原型です。個展は盛況に終わり、製品化のお声をいただいたものの、当時の私たちだけでは販路を広げることができませんでした。
そんな中、GOOD WEAVERの幸田さんに興味を持っていただいたことをきっかけに、個展の翌年のFOR STOCKIST EXHIBITIONという合同展示会にならべてもらいました。その場で多くの人に知ってもらい、評価してもらうことができました。SHOES LIKE POTTERYが10年以上続くブランドになれたのは、ここで出会えた方たちが愛用して、友人や知人に紹介してくれたからだと思っています。
今回の写真展は、そのときからSHOES LIKE POTTERYを愛用してくださっているクリエイターの立沢さんから、写真家の菅原さんを紹介していただいたご縁で実現しました。
立沢さんには以前もWatanabe’sの渡邉さんを紹介していただき、ALSOで靴の藍染ワークショップをしたこともあります。その渡邉さんに今回もご協力いただき、靴と写真を藍染してもらいました。
写真はかなり厚みのあるドイツ製の版画紙にインクジェットで印刷したため、表面からは藍が入らず、一旦写真を水に浸して、紙の断面から藍を浸透させていったそうです。この手法は世界でも類を見ない試みだろうとのこと。プロフェッショナルのお二人がお互いの技術を信頼し合ったからこそ完成した藍染写真です。
もう一つは湿板写真(グラスプリント)という写真。“光のまぶしさ”を写真で表現した、いわゆる「光る写真」とのこと。細かい技法については以前の菅原さんの紹介記事を参考にさせていただくと、「銀溶液に浸したガラス板に被写体が発する光を写し込んだネガを得る古典的な湿板技法と、デジタル技術によるインクジェットプリントを組み合わせた新たなプリントの技法」とのこと。実物を見ると光っていますが、それより浮き上がっている印象を強く感じました。
また、今回発売したSHOES LIKE POTTERYは“INDIGO MULTI”というカラーにしました。靴を生産する際、不良率を考慮して必ず余分に生地を発注するため、少しずつ色違いの生地が余り、どうしても残材が出てしまいます。その残材を渡邊さんにお願いして、藍で染めてもらいました。最初は同じ藍色ですが、紫外線などで少しずつ色が落ちてくると下地のいろんな色が見えてくる仕様です。まだ少しALSOの店頭に並んでいますので、ぜひご覧ください。
今回作った藍染のSHOES LIKE POTTERYは、昔からSHOES LIKE POTTERYを愛用していただいている方、ALSOの常連さん、初めて来店された方など、たくさんの方に手にとっていただくことができました。そんなみなさまにまた10年先もムーンスターの靴を履いていただけるよう、喜んでもらえるモノづくりをしていきたいと思います。